己を知るには釣りが一番

......

自然と向き合っていると分かってくることがあります。

まず自分のこと

思っていたほど賢くないし、信じていたほど運が強くないっ
てことです。




ゴツンとしたアタリがありました。
そのあとゴツン、ゴツンと続きました。

これぞタイの手ごたえ、
ヤッター、と思いましたね。

まさかデカベラだとだれが思います?
オチョボ口でテンヤの大針を飲み込むと、だれが想像でき
ますか。

ったく、ややこしいヤツですよ、ベラは。
さっさと針を外し、条件反射で投げ捨てます。

その後は時間だけがむなしく過ぎていきました。

ちょっと一言
餌の冷凍エビが良くなかった、と思うのです。
すぐに頭がちょん切れるし、脳ミソが汁でした。

一度解凍し、小分けして冷凍し、また解凍したのが
アカンかったんやろか。



先回のテンヤ釣りですが、
初体験にしては見事に、
まずまずのサイズの鯛を釣りました♪

それも第一投ですから、興奮しないわけにはいきません。
調子にのったのが不幸の始まり、
その後一度も竿を曲げることなく、あげくの果ては竿先を
折ることに・・・

その竿が戻ってきました、新品の竿に生まれ変って。
さあ、出直しの釣りです。


が、気分は少々重いのです。
五ヶ所に着くや早々、オドオドろしい光景にあいました。
庭が徹底的に荒れされているじゃありませんか。
害獣イノシシの仕業だと、すぐに分かりました。

それからコンクリート歩道に異変です。
歩くと足元から軽い音がします。
洗い出し舗装の剥離が加速的に進んでいました。

ああ、いつもいつもこんな調子、
平穏無事の願いむなしく、
難題が次から次とやって来て、後を絶ちません。

辛い、悲しい、泣きたい、ひもじい、
こんな憂うつな気分を慰めてくれるのは、いったいだれ
でしょうか。

残された道は、やはり五ヶ所の海神にすがるほかないの
です。
釣りに託します。











憂うつな気分に打ちひしがれています
翌日は、狙いをアオリイカに切り替えました。

ポッチャ〜ン
第一投は期待で胸がトキメク瞬間です。

エギを底に沈め、シャクって、また沈め、
そして再びシャクったときでした。
ググーンとした重量感、
これまた第一投からゲットォーーーですよ。

先回の一つテンヤも第一投ですから、なにか
神がかり的なものを感じますね。

すっかり墨を吐かせ、生簀の中にポチャンです。
しかし、
どうもそれが良くなかったのか、後が続きません。

先回の一つテンヤと同じプロセスです。
花火の後に延々と続く闇の長さ、
若い頃の恋の後に続く失恋の圧倒的な長さ、
なんだか、わが運の先細り性を想像させます。

スロープに戻り、考えました。
一杯じゃ料理するのも面倒だな、しかも小さいし、
逃がしてやりましょう。

五ヶ所湾の浦島太郎になれるかもしれない。
助けたアオリに連れられて、シカもイノシシもいない
竜宮城に・・・

生簀に泳ぐアオリイカをエギのフックで引っ掛け、
持ち上げた途端だった、

ブチューー!

墨で顔が真っ黒け