心のバランス

......

ワタクシ、ときどき変なことを考えます。
犯罪者でもないのに、牢屋に閉じこまれた自分であります。









牢屋でなにが辛いかというと、
食事の不味さではありません。
舌音痴ですから、食えるだけでもマシです。

過酷な労働ではありません。
労働の辛さは若いころより習得済みです。

厳しい寒さや暑さでもありません。
昔はこれを求めて山をさすらうほどでしたから
どうにかガマンするでしょう。

一人ぽっちの寂しさでもありません。
「ボクは薄幸な孤児だ」、なんて妄想に酔うほど
アコガレたこともありますし、はい。

じゃあなんだ、後に残った辛いことは?

そうです、退屈さ。
何もすることがない、これが何より怖いのです。

映画パピオンは、終身刑となった男の脱獄ストーリー
です。
この映画でもそうですが、なぜか牢獄生活は、
腕立て伏せのシーンが目立ちませんか。

あんなの朝から晩まで、腹ペコの体力でよく続けら
れるから不思議。
オレだったら5分でギブアップします。

読み物だって、退屈するものしか置いてないでしょう。
似たものに病院の待合室が頭に浮かびますね。
ただテレビがあるだけ待合室のほうがマシかな。

何もすることがない退屈さ、
何もできない退屈さ、
死にたくなるような退屈さ、

これほど酷な退屈は、牢獄以外にあるでしょうか。


ありました。
ありましたよ、朝から降り続く雨の日曜日。
少年にとって、牢獄ともいえる一日です。

思い出します。
外で遊べない苦しさ、
狭い家の中で、気が狂うほど落ち込みました。

あっちの壁にぶつかり、こっちの柱を蹴り、どうしたら
イイものか、とうとう錯乱状態になったほどです。



長い梅雨の晴れ間、
ココロのバランスを保つために釣りに出かけます。

庭から西方面の景色です。

日が傾くのがアジ釣りのゴーサイン。











バーヤが念をおします。
「5匹でいいからね、5匹よー」


舟をだしてポイントに着くまで10分。
ポイントに着いて竿を降ろして、仕舞うまで30分。
ポイントから帰るまで10分。

およそ一時間。
たったの一時間。

はたして
ココロのバランスを得ることができたでしょうか。


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