夢のあと
 湾の入り口に広大な土地を確保したご婦人グループ。
建築相談を通じて知りあったのが2年前。
着工間もなく我が家に見学にきた。生まれたばかりの
お孫さんをあやしながら賑やかなひととき。
話が弾んでそのまま泊ることになった。

岐阜県の山間にお住まいのAさんと奈良県の奥山間部
にお住まいのBさん。
不思議な縁で知り合った女性が、「新しき村」つくりを
描き、たどり着いたのが五ヶ所湾。
2年以上かけて伊豆半島から和歌山、四国まで探し求めたとか。
海が見えること、土地が広くて安いこと。
樹林帯に分け入って迷子になったり、蛭の大群に襲われたり
理想の土地探しは苦労の連続だったらしい。

総面積七千坪。もちろん海がみえる。
家もそろそろ完成したはず。我が家から車で半時間以上、
湾を半周する道をたどって確かめに行くのだ。

見えてきました、理想の里。
近くにトレーラーハウスがありました。
そこをベースに泊り込もの作業が何日も
続いたのでしょう。
建物工事は自分達でやりたい、と張り切って
いたのが思い出されます。
「毎日ユンボ乗ってるから、うまくなったよ」、と
苦笑いしていたAさん。
女性とはおもえないパワーでした。





中にはいると杉の匂いがプーン。
奈良の山奥から切り出したばかりの杉です。

「奈良から通うと4時間以上かかるけな」と、
居合わせた親戚の人も呆れ顔。

Aさんは完成目前に、ここを去りました。
部屋の隅にBさんのお孫さんの遊び道具が
ドカンと置かれていました。

道中の半分もきたところ。
妻の知り合いの別荘です
鳥羽から始まって英虞湾をめぐり、
たどり着いたのが五ヶ所湾。
中古の別荘を買いリニューアルしたもの。
家の改装はあっという間のできごとでした。

見物に我が家を訪ねたのが6年前のこと。
改築から5年、主が来なくなった玄関。
バルコニーの隙間から木が伸びていました。

道中にポツンとお洒落な建物が現れます。
4年ぐらい前に建った、海が一望のレジャーホテル。
ヨット、ボートの保管をそなえた豪華施設付き。
手前左は大きなレストラン。

倒産するまで庭の管理をしていた漁師さん。
「はじめから赤字だったさ」