海梅花

桜はパッと咲いて、パッと散る。
梅花もおなじ。パット咲いてパット散っていく。
海の思い出も咲いては散っていくのだろうか。

次女と初めて釣りをしたのがついこの間。
それから一月もしないうちに海外に飛びだった。
父親との釣りは旅立つ前の親孝行のつもりだっ
たのか。


あれから二月以上過ぎた。
さいきん月日の経つのがとても早く感じられる。


長女に庭仕事をせがんだ。
娘と娘の友達と妻とが
ウダルような暑さのなか、草むしりをしています。
こんな光景、夢の中でしかみることが
ありませんでした。



学生時代の女友達と来ることになった。
彼女も庭仕事を手伝ってくれるという。
久しぶりだ、
夏の五ヶ所が華やかになるのは。

庭仕事の汗を近くの宿で拭うことにした。
昼食だけの予約がしてあった。
田舎暮らしを楽しんでいる爺さん推薦の宿である。

話がそれるが、その爺さん、田舎暮らしの夢が
かなったせいか子供みたいにいつもニコニコ顔なのだ。
トレーラーハウスを構え、遠い岐阜から週末に
家族でやってくる。
延ばし延ばしになっている釣りの約束、果たされる
のはいつのことだろう。


さて、昼食の豪華さとボリョウムといったら、
それでも皆でたいらげてしまったのだから、
満腹になった体の置き場所に困るほどに。
静か過ぎて、英虞湾の風がやさしくて、なにも
考えなくていいし。
ふんだんに檜を使った宿。
またたく間にレピーターになってしまった。
ヨットマンたちが集う小屋に招かれました。
豪華なヨットも見学できたし、
娘たちにはとても充実した一日でした。







宿から帰ってまもなくご招待を受けた。
まだ満腹感が抜けきらないのに、
なんと贅沢なことか。


「キスを釣ってみたいんだってよ」
妻から間接的に聞いた、
娘たちが釣りをしたがっていることを。

きっと妻のサシガネだろう。
ほんとは
「お父さんが一緒に釣りをしたがってるけど、たまには
 誘いに乗ってあげなさいよ・・・」
てなぐあいに、娘たちをタキツケタに違いない。

でもうれしい
ウソでもいいからウレシイ。
またとない思い出ができる。 

たっぷり庭仕事をし、
檜の宿でたっぷり御馳走を食い、
ヨットマンたちの歓迎をたっぷり受けた次の朝
キス釣りに出かけました。


................... 長女と釣りをするのは初めてである。
次女とは済んでいる。
長年の夢がこれですべて適うのだ。


きっとこれが最初で最後になるだろう。



この時期にしてはデカすぎるキスだ
ほとんどが娘たちが釣り上げた。
海神に感謝