海桜
桜はパッと咲いて、パッと散る。
海の思い出もパッと咲いて、パッと散るのだろうか。

五ヶ所に通いだしてもう10年になる。
10年前といったら
次女がまだ中学生の頃だ。
友達作りで忙しく、家族なんかどうでも
イイ時期である。
だから五ヶ所に誘ってもムダだった。

ところが高校生一年の夏休み。
「出来立て」の級友をたくさん連れてくることになった。
そのときは、その日が来るのが待ち遠しく、
まるで我が事のように興奮したことを覚えている。

朝の打合せ。
釣りの仕方を教えます。
全て教えるのに5分ぐらいかかりましたか、
なにしろ初めてのことです。
釣りが初めての娘に
はたして覚えれたかどうか?



その後も毎年決まったように、たくさんの友人を
連れて来るのだが・・・
遠巻きに見ておれたのも初めの頃。
今では、遠くに居てもイケナイことになっている。

さて、風薫る五月の連休。
この間に二日間づつ、
長女と次女が入れ替わりに五ヶ所に滞在することに
なった。

庭仕事の「助っ人」を要請したのである。
五ヶ所での庭仕事が山ほどあって、この機会に、
家族の勤労フレアイ記録を綴りたかったのである。





たっぷり汗を流した日の夜。
次女から「キスを釣ってみたい」、と聞かされた。
風もなく絶好の釣日和です。






誘うだけムダと思っていたのに。
一生涯に渡り、娘との釣りは実現フカノウと
アキラメテいたのに。
突然のコトにウロタエるではないか。


離れの作業小屋で釣りの準備を終えたのは皆が
寝静まった後だった。
それから朝早く起き、エサを買いに行った。
なんとも慌ただしいこと。


穏やかな海面を割って舟を走らせる。
ほどなくエサ屋のオヤジが言っていたことが分かった。
妻に見送られ舟をだし、早一時間もたつのに
キスの手応えがまるで無いのだ。
釣れるのはべらばかり。
キスの群れがまだ湾内に入ってないようだ。

なるほど游魚船がほとんど見当たらない。
この時期にしては寂しくないか、と思う。

沖に出てみました。

もともとムダグチの少ないヤツですが、
オモシロイのかオモシロクないのか一言もなく、
ず〜っと おし黙ったままで・・・・

................... こうなると沖へ行くしかないないだろう。
二度とないこの一大事。


我が「五ケ所湾キス釣り暦10年間」の
総結集がかかっていた。

















私は一番小さいのから順に3匹、後は全て娘でした。
キスは全て刺身にしました。ほんのり甘みがあって・・・思い出が詰まっているようで・・・