千客万来

................
例によって例の緊急呼び出し。
予感はしていたがこんなにズバリあたると辛い。
だからゴールデンウイークなのに途中で名古屋にもどり、また出直す
ことになった。

この間来客もあり、自分にとって忙しくも充実したものとなった。
窓下に海をながめながらのお喋りは、朝がいつの間にか昼になり、
昼がいつの間にか夜になっていた。





後半の連休に後輩夫婦が千葉から来た。
山岳部の後輩だが、訳あって2年留年した。
おかげで遊び相手として長く「仕えさせる」ことが
可能になった。

ボクには2年留年した友人が他にもいて、その痛々しさが
理解できるのである。
ボクも卒業で苦労したし、その他何度も失恋したから
イレギュラー的人生には親近感を持ってしまうのだ。

さて、その失恋だが、あまりの多さに対戦相手が全部
思い出せないでいる。
後輩はその間の生き字引であり、だいたいは知っている。
失恋する度に、後輩たちの下宿をはしごし、
コトの一部始終を聞かせるのが回復の近道だった。

とりわけこの後輩は清潔で、部屋のなかはキチンと整理
され、同じ布団で寝ることもあった。
他に同じ布団で寝ることができた男は、もう一人いた。
おなじ学生寮にいた奴で、布団がきれいで臭くなかった。
ボクは自分が臭いわりに、他人の臭さにはガマンできない
のである。
こっちを向くなというのに、ききわけのない後輩です。
後輩夫婦と我が夫婦でドライブに行ったのが南東大橋。
四人だけで揃ったのは何年ぶりでしょうか。

あと5年もすると早期退職が待っていると、そしてその後は
何も考えてないといいます。
五ヶ所で一緒に過ごさないかと、誘いました。
後輩のなかで一番頼りになる男ですから、もしそうなると
とんでもなくウレシイことになります。

そのうちいつか、
布団に潜り込んでジックリ聞かせてやらねば・・・





さて、このように一夜を共に過ごすのは序の口で、合宿の
テント生活となると、ナグサメの強要は延々と続くのであった。
ボクの記憶では、オンナの話が95%で残り5%が山の話
だったように思う。

10日間の合宿では、朝から晩まで飽きもせず連日続けた。
胡散臭い後輩ばかりなので、生きたロマンを聞かせるのは、
彼らの人間成長にとって必要なことだった。

ところがこの後輩だけに彼女がいて、すでにロマンの成功者
であった。
だから、10指を数える連続失恋に、とうとう立ち上がれなく
なったとき、この後輩にひざまずき助けを求めたのである。

 「オマエの彼女に頼んで、オレに一番似合うオンナを
  ミツクロッテくれないか。 オレの運命はオマエに全て
  託すからな、頼んだぜ」
   と、指示しておいたのだ。

そしてその結果、
後輩の奥さんの仲良しクラスメート、それが今の
オラのカカーということになった。
5月の4日に少年が海に潜っていました。
水中めがねでいつまでも海を眺めていました。

ボクがもし少年だったら同じことをするだろうか、
少年にもどって確かめてみたくなりました。


........