暗夜行老(こうろ)


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五ヶ所には一月に4日くらいの滞在で、
あっという間に時が過ぎていきます。

だから五ヶ所の時間はとても貴重。
活発に昼を過ごすには夜の熟睡が必要となります。

しかし現実は正反対。




肉体作業は眠りを誘います。
丑三つ時。
わが魂は遠い南国の椰子の木陰。
少女にかけてもらった花の首飾りが、
ヨダレで濡れています。


『ウゥ〜ウゥ〜』 

ガバッと布団をはねのけた。
警報センサーが鳴ると条件反射で目が覚めます。

サンダルをひっかけ、懐中電灯も手にした。
もちろん長棒も忘れない。
エイヤー、と外に飛び出した。
それからは、
長棒をふり回し、狂気の追撃が闇夜に展開されます。

およそ頭に鉢巻をし、2本の懐中電灯を差し込んだら・・・
そうです、「八つ墓村」の山崎勉、
いえ、多治見要蔵と変わらないでしょう。


そして、朝をむかえました。
寝ぼけまなこに映ったものとは!
有刺鉄線に絡まった奴らの毛。

自然と笑いがこみあげ止らないのであります。









考えてみましょう。
有刺鉄線はそこそこの役目を果たしています。
しかし完璧ではありません。

奴らは激痛にめげずに、侵入を繰り返します。
しかたありません、
ワタクシもお付き合いを繰り返すだけです。

中古の魚網をホームセンターで買い求めました。
それを海に向かって40mも張りました。

はたして効果があったでしょうか。
次回、現地での確認が楽しみです。












道路脇の木を剪定していました。
ハシゴに登っての高所作業です。

散歩の青少年たちと目が合いました。
お互いに
「あっ」
「あっ あっ」のラブコール。

なつかしい、半年ぶりの再会です。
お盆に海水浴に行った浜辺のこと、
クラゲに刺され、蚯蚓腫れになった裸が思い出されます。
泣きべそをかいていた男子に、
それを心配し面白がっていた女子たち。

男子は中学3年。女子は高校1年と中学2年。
小さな漁村の小さな浜辺が、彼らの遊び場所。
家の前に海が広がっています。
潮風が育てたやさしい子供たちです。

まさに千歳一遇のチャンス。
強引に我が家に招き入れました。
コーヒーを沸かし、封の切っていない生菓子だって
出し惜しみしません。

私の友人も交え、のどかな交流会がつづきます。
彼等を解放したのは二時間も後のことでした。

極上の客人といると時間を忘れますね。










表玄関の門柱です。
時間をかけ、丁寧に丸太を削りました。
表札の下準備だけで仕事の半分。

表札はネットで購入したステンレス製です。
板の厚さが2ミリもあって、重厚感も期待できます。

では、さっそく板に留めビス用の穴を開けることに
します。
ポンチを打ち、ドリルの刃先が踊らないように
するはビギナーじゃない証。
なんといってもワタクシ、セミプロですから。

ところが、
板の厚さが厚すぎた。
ドリルの刃先が上下右左と動き、定まらない。
仕方なく、落ち着いたところで穴を開けます。

それだけではありません。
力を入れすぎてボキッと、ドリルの刃が折れました。
力を込めていますから、刃の折れたところが
そのまま刃先となって表札の板を滑ります。

滑った跡がギザギザの傷となりました。
写真では判りませんが、ギザギザの跡がしっかり
残りました。

さてどうするか。
表札だけにキズモノはよろしくありません。
しかもビスの位置が、大きくずれてます。

ワタクシ、いちおうセミプロ。
自尊心が痛みます。














鹿とばかりお付き合いできません。
春が迫っています。
花の苗を植える準備です。

いざ、土を耕そうとしたら岩が出てきました。
それをどけようとして土を掘っていくと、とんでもない
デカイ岩だと気づきました。


ここで中止するか、それとも続行か・・・続けます。
ワタクシ、直線思考性ですから修正ができません。

チェーンブロックで大岩を吊るし上げ、その下を掘り
下げることにしました。
大岩の下敷きになったら助からない、そんな恐怖に
怯えながら40cmも掘り下げました。

どうにかこうにか大岩を沈めることができました。
さらに土を運び、大岩の上に被せます。
草花が育つにはこれで充分でしょう。

これでよせばいいものを。
欲がでてまいります。
デカ石で花壇を縁取りすればカッコイイ。

デカ石を運び、並べます。
そうすると、
デカ石に見合う土も運び入れなくてはなりません。


たかだか一時間で終える作業のはずが、
二日間も要すことになろうとは・・・