熊本の友人
一家。
どこかに挿入
したくて。
海中散歩

海に飛び込まなくては、辛抱できない暑さである。
北斜面の敷地なので、海からの南風が今一つ力強さがない。
3点セットを身につけ、初めて潜ってみる。
「海は隣り合わせ、いつでも潜れるわ」 と、今まで大事に秘めていた楽しみ。

潜って、いきなり驚いた。
チョロチョロと泳ぎ回る熱帯魚が、目に飛びこんできた。
こんな身近なところで、観察できるんだあー!

強烈な太陽光線が、そのまま透明な水に射し込んで限りなく明るい。
黄色の魚は、ひときわ鮮やかに輝いて見える。
ただポツンと一匹だけで、仲間がいないのだろうか。
少し哀れみを感じるが、景色が明るいから暗い気持ちにならない。
青い色した魚を、3〜4匹見つけた。
どれもサイパンや沖縄で見たのと同じやつだ。
ドジョウと良く似た魚で、気色悪そうなギンポがやたら多いので、熱帯魚を見
つけると、嬉しくて水の中で笑ってしまう。

岸辺から離れると、プランクトンの死骸だろうか、見通しがグーンと悪くなる。
逆に、どうしてこんなに透明なんだろうと思うぐらい、岸辺では濁りがない。
不思議に思っていたのだが、口を開けているカキを観察してその謎が解けそう
だ。水を吸いこんでは、さかんに吐き出している。
きっとカキは想像以上のろ過機能を持っているのだろう。
いわば天然の大規模浄化装置かもしれない。

岩場のくぼんだところを覗き込むと、菱形の甲羅をもつ渡り蟹がうごめいてい
る。
よく見ると、大きい方が小さい方をハサミで押さえつけ、わしずかみにしている。
きっと産卵期なのだろうが、身近で見ると弱い者いじめに映ってしまう。
黙って見過ごすわけにはいかないし、遊びゴコロもあって貝殻でこずきまわし
てみた。
大きい方も必死なもので、いったん挟みこんだ相手をなかなか放さない。
「人質解放」まで、相当の時間をかけてしまった。
…どちらが残酷?。

海は今日も、豊かでたおやかである。